気が向くまま徒然ブログ。
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ネタバレ絡んでたり、作者が書いててひぃひぃなってるもの(つまりは年齢指定物)以外は文章もこっちに、と思って実は大分前からブログにカテゴリだけは作ってあったんだぜ。
<Kalanchoe/蓬遡・琥鴬>
<Kalanchoe/蓬遡・琥鴬>
E-la yayle yayle Wi-phen-la Whka Luna nizthen
Stellia banna tatt inn a zatta satta roopen
Koonpelita a tianate U-layle nonn
Soonpelite a asiultze U-tetto ilta ieto
澄み切った青空に、天高く、されど何処か密やかに。
食料やら何やら調達のために連泊している小さな町の、小さな宿の、その屋上階。
さて晴れ間を見せているうちに、旅装の天日干しでもまとめてしてしまおうかと全員の身包みを部屋着を残して引き剥がして日の下に出てきたところで、耳に飛び込んできた囀り。
明朗に紡がれているくせに、何処か発音が出鱈目で、不明瞭で、不安げな。
けれどどうしてか耳を傾けてしまう、その、女声。
昨晩見かけた宿屋の娘が雑務の片手間に民謡でも鼻歌交じりに歌っているのかと思ったのだが、歩を進めてその姿を視認して目を丸くする。
風に踊る、紅蓮の尾っぽ。
一羽のよく見慣れたカナリアだ…真っ赤なやつ。
屋上の少し錆びた手すりに軽く体重を乗せ、声高らかに歌い上げる歌姫は、見知った同輩の少女だった。
切りよく歌い上げられた独奏歌に、感嘆の意を持って素直にそれなりの遠慮を忘れない音量で手を打ち鳴らせば、射るような赤い閃光。
「意外…。歌姫役は、どちらかってとうちだと千里牙の役目だと思ってたんだけど」
「……ほっとけ」
忌々しげに一睨みした後、すっかり不貞腐れた様子でどかりと座り込む。
(…優雅さの欠片もないな)
先程の見事なまでのソプラノの歌声を思うと自然に薄く笑みが面(おもて)に乗る。
「さっきの曲」
「混ぜっ返すなよもー…、らしくないって言うんだろ?」
それも思ったけど。
口には出さずにあいまいな笑みで誤魔化して、上着を一枚物干し竿に。
今日は少し風が強いから、しっかりと留めておかないと後で泣きを見そうだ。
「意味知ってる?」
「知らねぇよそんなの。旅芸人の一座の世話になってる時に、座長の娘だった姉さんに習ったんだもん」
「ふぅん」
「…なんだよ」
「すっごい、鬱陶しいくらいに熱烈な、愛の歌なんだよ」
二枚目を手に取りながらカナリアに目をやれば、心底嫌そうに顔を歪めているので愉快で堪らない。
赤くなるのか青くなるのか、はっきりさせたらどうだいと助言してやりたくなる。
走って逃げ出すかのようにも見えたけれど、存外そこに留まって、顔を背けながら洗濯籠に埋まる三枚目を投げやりに寄越して来た。
最終的に、その頬は赤い。
「…最悪」
「聞かれたのが?歌の意味が?」
「両方!あー、もう絶対歌わねぇ!!!」
「なんでさ?」
「は?」
天に向かって吼えた少女から最後の一枚を受け取って干しながら、思ったままを口に出したら真ん丸に目を見開かれた。
全くもって遺憾だ。
「俺は、聞きたい」
「…歌うか」
「ね、もう一度歌ってよ」
「だーかーら、歌わねぇってば!」
地団太踏んで憤る小鳥の様は、恐ろしいというよりどちらかというと滑稽なまでにかわいらしい。
笑いを収めようと口元に手をやったのが余計に気に入らないらしく、更に眉間の皺が深くなった。
「今日の夕飯」
「あ?」
「夕飯に、白豆のスープで、どう?」
さて、歌姫の回答や、如何に?
晴天の最中、不満気な恋歌が流れたのは、それから少し経ってからのこと。
********************
テンポ重視で。
色々気にしてたら、いつまで経っても書き上がらないんだもの(笑)。
歌唱部分は出鱈目語なので、ググったところで翻訳は出来ませんので悪しからず。
何故「月」かと言えば、実は歌詞に入ってるからなんですけどね。
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プロフィール
HN:
柴川カズサ
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
プロフ画像は某所で使って頂いているものの別加工版(笑)。
鋼の錬金術師:ロイアイが本命と声高に(こっそり)叫んで早…4年くらい?
ボカロに浮気をして見つつ、結局落ち着くのはそこだったりします。
あとは自分の子がかわいいオリジナルラバー。
傾向的:ノーマルが大好きっ子
鋼の錬金術師:ロイアイが本命と声高に(こっそり)叫んで早…4年くらい?
ボカロに浮気をして見つつ、結局落ち着くのはそこだったりします。
あとは自分の子がかわいいオリジナルラバー。
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